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2021.1.21(木)自分を愛せるように


僕が共通一次試験(当時)を受けたときの話。試験会場の机は2名分が横につながったタイプで(他では殆ど見かけたことがない)、見ず知らずの眼鏡の青年と隣合わせに座ることになった。


ところがこの青年、テストが始まるやいなや盛大に貧乏ゆすりを始め、机でつながっている僕の席もずっと揺れている。おまけに難問に苦しんでいるのか、荒々しい鼻息やため息が漏れていて、気になって仕方がない。今だったら試験官に訴えることもできるが、当時は心を閉ざしていた青年だったので、何もできなかった。


その影響もあって、その日の試験はまったくふるわず。結果・浪人決定... というのは言い訳で、もともと全然勉強不足だったので、仮に何もなかったとしても惨憺たる結果だと自分でも分かっていた。


不合格は貧乏ゆすり青年のせいではなかったけれど、試験会場に困った人がいると、大きな支障をきたすことを身を以て体験できたのは貴重だった(笑)。今回の鼻マスク事件も、周りで集中力を削がれた学生がいることを想うと、なんとも気の毒。





さて、今日は今年初めて、鼻と目で花粉を観測。今年もこの季節がやってきたか....長いんだな、これが。


マスクをして、花粉症対策用の伊達メガネをして外に出る。一瞬で盛大にメガネが曇る。知っている近所の道だが、視界が悪すぎて危ない。老いて白内障になるとこんな感じなのかな、と未来を想う。


昨日、大学の頃創ったインスト曲を思い出して練習していた。手探りで何週間もかけて多重録音で作った曲は今でも隅々まで覚えていて、1時間ほどで1本のギターでアレンジし直して演奏できた。


若い時に作曲を始めたばかりの頃は本当に手探りで、曇ったメガネで何も見えない道をゆっくり歩き始めたような感覚だったな、と過去も想う。





十代の僕は、グレてはいなかったがいつも拗ねていた。

「どうせ、俺なんか」といつも思っていた。


そのせいなのか、試験会場の件のように、必要以上に不運を引き寄せてしまうところもあった。(試験官に言えなかったこともそうだが)その不運を甘んじて受け入れてしまっていたところもあった。


その後、幸宏さんとの出会いを発端に僕の人生は急変して、こんなに幸運でいいんだろうか?と思えるほどの幸運に恵まれた。アマチュア時代に憧れていたギタリストになる夢は結果叶わず、シンガーソングライターとしてデビューするという思いがけない展開もあったが、それも幸運だったし、甘んじて受け入れてよかったと今でも思う。


そんな経験を経て、少しずつ意識が変わった。いつしか「どうせ俺なんか」と思わなくなっていた。自分のことを認めてくれる人がいることを実感して、作品やライブで結果を残せた自信がそこにつながった。



強く自己主張して、自分の初心を貫くのも良し。

流れに身を任せて、思いがけない結果を楽しむのも良し。


「どうせ俺なんか」と思うと、運が逃げる。自己肯定感のさじ加減は難しいが、自分が好きになれない人は、本当の理解者が現れるまでは一人きりでもいいんじゃないかな。


みんなが、自分を愛せるように。


花粉の鼻と喉の不快感は、夜鼻うがいしたら治った。おすすめします。


*Illustrations by H.Takano with Procreate+iPad.

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