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能登, not alone


節分の日、2月2日。


冷たい雨の中、

北鎌倉・円覚寺 塔頭 如意庵へ。


雪の予報が外れて、良かった。


あまりに底冷えするので、RCサクセションの「山のふもとで犬と暮らしている」が、脳内再生された。


「今日は一日 本を読んで暮らした

とても冷える日だった」






開催されたのは、畠山美由紀さん主催の能登支援コンサート。


美由紀さんの呼びかけに集まったミュージシャンは、僕のほか、おおはた雄一君、小池龍平君、石塚明由子さん、江藤有希さん。

みんな、しっかり自分の足で立っている音楽家たち。


チケットは早々に完売して、キャンセル待ちが多数出るほどの盛況。ありがたい。








円覚寺は、北条時宗が弘安の役の戦没者を弔うために建立を発案したのが始まりという。

門をくぐると、苔むした岩や、由緒ある仏閣が立ち並ぶ。


境内に入ると、奥深い山に分け入ったように森の気が辺り一面を満たしている。そのさまは、鎌倉時代から時を止めたよう。



そんな広大な円覚寺の敷地の一角に、今日の会場・如意庵がある。ふすまの一枚いちまいや、ちょっとしたところに飾られたさりげない花に目が留まる。


如意庵の庭には(第二次大戦中の)防空壕が残っていて、庭には時折狸が出没するらしい。






会場には、日本酒、塩など、能登の名産品も並んでいた。


輪島の「町野町復興プロジェクト 炊き出し隊」チームのリーダー、「日本料理 富成」の富成さんが、その日に仕入れたマグロを朝4時から捌いて作って下さったという恵方巻き。


アワビ、穴子、イカ、贅沢すぎる巻き寿司。もちろんお米は能登米。








その恵方巻をまかないでいただく。

絶品。

粕汁に心も温まる。


ほとんどすべての食材が、能登から来たもの。能登の豊かさを味わう。


























今日の出演者は皆ギターが大好き。


それぞれの楽器のこだわりポイントや、アコギをライブでうまく鳴らすためのパーツや道具など、マニアックなギター談義に花が咲く。


リハもなごやかに。



百戦錬磨のミュージシャンたちは、どんな環境でも、すぐに自分の音楽を奏でることができる。


手作りイベントなので、スタッフは最小限。みんな、自分の判断でキビキビ動く。


 

ライブは富成さんのお話から始まった。10人以上の友人・知人がなくなったこと。地震に続いた9月の豪雨では心が折れそうになったこと。金沢はほぼ元通りになったが、輪島など多くの地域がまだ復興半ば、そして奥能登では(ライフラインなどの)復旧すらできていないとのこと。もう、一年が過ぎたのに。




被災地に思いを馳せ、黙祷。そしてライブが始まった。

それぞれが30分ほどの持ち時間をリレーのようにつなぐ形。僕は3番手。


事前に考えてあったセットリストは、お話を聞いて、変えることにした。


「時代は変わる」「Change」「相変わらずさ」と、最初の3曲は「変化」を歌った曲。

そして「ベステンダンク」「確かな光」。あっという間に。



アンコールでは全員が揃って、僕が美由紀さんの新譜のために書き下ろした「Travelin' light」を。







 

気仙沼出身で、東日本大震災の時は復興のために様々な尽力をした美由紀さん。「あの時と今とで、日本の何かが変わってしまったね」と。

たしかに、2025年の今、世界や経済の混乱と、押し寄せる情報の洪水の中で、誰もが自分の周りの暮らしを守るのに精一杯かもしれない。


それでも、今も変わらないこと。

音楽は時に無力だが、音楽にしかない力がある。

それをシェアしていくのが、音楽家の仕事。


ありがとうございました。



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