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2021.1.26(火)芸術の仕事

ブライアン・イーノがインタビューで語っていた「MUBI」というアート系映画のサブスクにお試し入会してみた。日本語字幕がないので、ひとまずセリフのないショートフィルムをいくつか観た。


Meshes of the afternoon」という映画が良かった。1943年のモノクロ映画。

主演は監督・脚本・編集も手掛けるMaya Deren。「アメリカン・アヴァンギャルドのゴッドマザー」と解説にある。和風の音楽はTeiji Ito。この映画の後、二人は結婚したらしい。




映像がとてもきれいだったので、画面を写真に撮って模写したくなった。iPadに取り込んで、Procreateでトレース。ガラス越しに木が映り込んだカットを選んだので難しい、でも楽しい。夜中に2時間、起きてから2時間。目線がうまく表現できなかったけど、まずまず。




久しぶりに実験的な映画を観ながら、大学の頃を思い出した。あの頃はこういう映像をたくさん観てた。音楽も映画も「変」なものにとことんハマっていた。現実離れした表現に触れて、想像の自由がどんどん広がっていった。


そんな感覚のまま、卒業後1年も経たずにシンガーソングライターとしてメジャーデビューしてしまったから、最初の何年かは日本のポップスの世界と意識がずれまくりで、いろいろ苦労したな(笑)


Maya Derenの言葉があった。DeepLで訳してみる。

"映画やその他の芸術の仕事は、無意識の魂の隠されたメッセージを芸術に翻訳することではなく、現代の技術的な装置が神経や心、魂に与える影響を実験することである"


J-POPでは「伝える」こと、特に歌詞での共感を(僕からしてみれば「必要以上に」と言っていいほど過剰に)問われる。僕もなんとかして、その命題にずっと取り組んできた。でも、決してドラマチックな日々を生きているわけでもなく(笑)伝えたいことなんてそれほど多くない。言葉で伝わらないこともたくさんある。「声は言葉にならない」なんていう曲も書いたことがある。



先述のMaya Derenの言葉は前衛芸術家ならではの表現だが、アートに触れた時に、凝り固まった価値観が揺さぶられる感覚が好きだ。それは人生の大事な指標であり、特に現代のように、今までと違う生き方を問われる時代には、新しい発想の手助けになることもあると思う。


楽器を弾いたり、歌を歌ったり、写真を撮ったり、絵を描いたりして夢中になって時を忘れられるだけで、十分幸せだ。



*pic by H.Takano 2012. with RICOH GXR P10kit.

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